一般質問 「大和市の財政運営について」

 以下一般質問の内容をほぼ全文掲載します。また、意見要望も掲載しておきます。答弁内容は、速記録が来てから掲載します。非常に長い文章となりますが、是非、お読み下さい。その上で、御意見があればお寄せ下さい。

<一般質問>

 長期的持続可能な財政運営は、自治体にとっても、地域住民にとっても将来を左右する最も重要な要素です。さらに財政は、自治体運営に限らず、企業運営にとっても重要であり、あらゆる組織体にとっても根幹となる重要な要素です。

そこで、今後の大和市の財政運営において重要な視点を私なりに挙げさせていただくと、1番目に今後の経済環境や社会環境における大きな変化を見極め、歳入額、歳出額の変化を見極めることが重要です。2番目に過去の財務構造を見極め、その上で将来の発展戦略と、そのための重点投資戦略をどのように考えるかということが重要と考えます。3番目に歳入拡大と歳出削減の具体的取り組みが重要です。4番目に財政透明化や健全化への取り組みです。以上を総合的に判断した財政運営が求められると考えます。

大和市においても大木市長の下、健全な財政運営をされていると評価します。その努力には大いに敬意を表します。しかしながら、ここで改めて様々な視点から現在の大和市の財政運営を分析、検討して、少しでも大和市財政運営に寄与できる部分があればと思い、今回は一括質問として財政運営を取り上げて質問することとします。

最初に中項目1として、世界も含めた経済環境の現状認識と見通しについて市長にお聞きします。今後の経済環境は国の財政、自治体財政にも直結する大きな要素です。

1年半前の私の一般質問では、中国経済の減速、ドイツ銀行の格下げなどの信用不安、ニューヨーク株式市場などのチャート上の不安など、世界経済の先行き不透明さを指摘しました。その後の世界経済は、中国経済にやや持ち直しの傾向が読み取れ、ドイツ銀行は昨年の9月から10月にかけて信用不安が拡大しましたが、現在は信用不安が薄らいだように見えます。一方、ニューヨーク市場のダウ工業株30種平均は連日史上最高値を更新しています。

しかしながら、ドイツ銀行やアメリカ、イタリアの銀行などの信用不安がいつ再燃してもおかしくない状況にあると考えます。また、世界的な政治リスクも拡大していると考えます。アメリカファーストを掲げるアメリカ大統領の登場に続き、今年4月のフランス大統領選挙においても、現在のところ極右政党の候補者がリードしているとの報道があります。仮にこの候補者が登場することになるとEUの崩壊もささやかれています。このようなポピュリズムは、現在の社会環境下ではナショナリズムと結合しやすく、保護貿易主義とも直結します。

また、2008年のリーマンショック以降、各国は中央銀行を中心に、懸命に資金供給量を拡大し、景気浮揚に取り組んでいることも述べました。

現在は、FRB量的緩和を終えましたが、その影響もあって、世界的に国債の利率が上向きに転じています。

日本国債では新規発行の10年国債では、昨年の7月でマイナス0.3%でしたが、11月末に0%を超えて、直近では0.1%となっています。米国債も10年債で昨年7月に1.5%を切っていたのが、直近では2.5%近くまで上昇しています。通常の経済常識では、金利上昇期は株式が下落することになっています。しかしながら、この常識に反して、トランプ登場と同時に金利も上昇し、株価も上昇する現象となっています。

これは、トランプへの政策期待により、相対的にアメリカの景気回復が先行し、そのアメリカの景気回復の恩恵が世界に波及する期待感によるものと考えています。しかしながら、これに伴って米ドル為替も強くなりやすくなるので、日米との貿易赤字解消のために円高誘導を行う可能性は高く、そうすると必然的に日本も金利上昇となる可能性が高くなります。

 以上の背景により、世界的な金利上昇が始まると、ゼロ金利政策のもとに大幅な資金供給量による国債社債の買い取りオペを行っていた中央銀行や、国債を大量に保有する主要銀行に大幅な国債価格下落という含み損をもたらす可能性があります。このような債権バブルが崩壊すると、株式マーケットよりもはるかに巨大な債権マーケットの含み損は膨大なものとなり、世界経済の変調は大きなものとなる可能性も否定できません。

以上はあくまでも私の仮説であり、このようなネガティブな予測が当てはまらないことを切に願うものですが、リスク管理という側面からある程度は想定しておく必要があるとも考えています。そこで質問です。中項目1として、市長の世界経済における現状認識と見通しをお聞かせください。

次に中項目2として、大和市の財政構造の分析にもとづいた財政運営についてお聞きします。

皆様ご存知のように、予算書、決算書は一般会計と特別会計に会計区分されています。しかしながら、ここでは、地方財政全体の分析に用いられる統計上の会計の普通会計データを用います。普通会計は、一般会計を中心に公営事業会計を除く特別会計を加え、会計間の重複を取り除いた純会計です。なお純会計の純は純粋の純です。この普通会計を示すデータである決算カードをもとに経年分析して質問していきます。なお、データは、三位一体改革の一環として地方税法の改正により地方への税源移譲があった平成19年から平成27年の9年間としています。

 また類似都市として、神奈川県内の特例市である小田原市厚木市茅ヶ崎市平塚市を対象に比較分析していきます。

 最初に表1をご覧ください。大和市の住民1人当たりの区分別歳入額と類似都市との比較をまとめたものです。また図2は、歳入の中で自治体の自主財源として非常に重要な地方税をグラフ化したものです。これを見るとリーマンショックの平成19年をピークに減少傾向が続いています。

 個別に見ると、個人市町村民税は、タイムラグがあるため、平成21年から減少しはじめ、現在でも平成20年の90%にとどまっています。平成20年より人口増となっていますが、絶対額でも96%の水準です。

 法人市町村民税は、リーマンショック後の平成20年、21年に大きく減少し、その後回復基調にありましたが、近年の企業外部流出や市内企業の業績伸び悩みなどもあり、近年はさらに落ち込んでおり、住民1人当たりで約60%の水準です。絶対額でも平成29年度予算では、20億円を割り込み17億円台の見通しとなっています。

 固定資産税は、ほぼ横ばいですが、近年はほぼ住民1人当たり6万円で推移しています。

 これを類似都市と比較すると、個人市町村民税は103%と高い水準を保っていますが、法人市町村民税は52%の水準です。固定資産税は82%の水準です。

 それでは、今後の地方税の見通しをどのように考えればよいでしょうか。大和市平成28年に自然増が 254人、社会増が553人でした。このように人口増加基調が継続しているものの、個人市町村民税の視点から見た場合、平成28年の22歳人口が2456人、社会増が 553人です。社会増の半分が納税者と仮定すると、約2700人が新たな納税者です。反対に28年の死亡者数が 1818人、65歳人口が2778人です。亡くなった方々の納税はゼロとなり、65歳以上は納税額の減少が予測されます。これらは単純な数字のチェックですが、以上を考え合わせると、今後、人口微増が継続しても高齢化の進展とともに、個人市町村民税は減少に転じる可能性が高いと判断します。

 法人市町村民税は新たなテコ入れを行わない限り、さらに減少が予想されます。

固定資産税は、類似都市の82%の水準ですが、これは都市としての新陳代謝が停滞していることと、新たな企業立地や都市開発が少ないことの表れであると考えます。

次に表2及び図2をご覧ください。区分毎の住民1人当たり目的別歳出です。なお、伸び率に関しては平成19年を基準年として倍率を算出しています。

このデータを見ると、平成27年度は19年度に比べ民生費の伸びが最も大きく、1.7倍となっており、次いで教育費の伸びが1.58倍となっています。この2つの伸びが突出しています。民生費はどこの自治体でも年々膨らむ傾向は同じです。教育費は寺子屋やまとやIT化によるネットワーク構築の充実などもあり平成26年度から急増していると考えられます。一方、減少が大きいのが公債費で0.66倍です。次いで土木費は0.71倍となっています。

 これを類似都市と比較すると、民生費は類似都市でも住民1人当たりの数字は大和市とほぼ同じ水準です。類似都市よりも飛びぬけて歳出が大きいのが教育費となっています。 反対に類似都市よりも歳出が少ないのは、総務費、商工費、公債費、消防費などが挙げられます。

 健康都市大和として、教育費と民生費に重点的に予算配分して、市としての特色を打ち出してきたことが伺われます。そのために自ら身を削って、土木費や総務費、商工費などから原資を捻出するなど苦心をしている状況であると拝察します。

 これは表3からも読み取れます。大和市の人件費は類似都市と比べて平成27年度で84%の水準です。また人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費も95%にとどめています。但し扶助費だけを見てみると、類似都市の1.07倍とかなり高い水準です。物件費は94%と低い水準です。これらの予算配分上の工夫や努力は大いに評価させていただきます。因みに、ここでは表示していませんが、ここにいらっしゃる議員と一番関連のある議会費は、平成27年度で、大和市が住民1人当たり1730円です。類似都市は2050円なので、大和市は84%の水準となっており、ここでも工夫と努力が見られます。

 しかしながら、どこの自治体も抱える共通の問題点ですが、今後の歳入が拡大しない状況の中で、膨らみ続ける民生費あるいは性質別歳出における扶助費の伸びをどこから捻出するのか大きな課題と考えます。

 次にお配りした資料には載せていませんが、財政健全化に関する指標の一つである公債費負担比率は、地方債の元利償還金等の公債費に充当された一般財源が、一般財源総額に対してどの程度の割合になっているかを示す指標ですが、一般的に15%を超えると「警戒ライン」といわれています。大和市では、平成18年、19年に13%の水準でしたが、平成27年度では 8.6%で安定的な水準を保っています。他の実質赤字比率、連結実質赤字比率、将来負担比率も健全な状況です。 財政調整基金平成27年度で約59億円と、類似都市と遜色のない額となっています。

 以上のデータ分析結果に基づいて大和市の過去9年間の財政運営を私なりに整理すると、大木市政にとって、健康都市大和を推進するために様々な事業を新たに創設し、充実してきました。そのような新たな事業費拡大にも関わらず、先ほど述べたように財政健全化の指標は現在健全な状態を保っています。

そこで中項目2の小項目1として、市長就任以来の過去10年を振り返り、その間の財政運営の基本的スタンスや留意点をお聞かせください。

 

 今後の財政運営に関しては、地方税歳入の頭打ちもしくは減少の可能性が高い中で、民生費については、どこの自治体でも拡大傾向に対する財政対応の限界が近づいているように考えられます。民生費は国等からの補助があるとは言うものの、約40%を一般財源から充当しなければなりません。従って、今後地方債の増大や財政調整基金の取り崩しなどの対応が予想されます。さらに、財政対応が一層困難な状況になった場合、市民への様々なサービス水準を落とさざるを得ないことも想定されます。まさにこれからの財政運営は自治体の将来を左右する重大な局面に差し掛かっているといっても過言ではありません。そこで小項目2として、今後の財政運営における将来の発展戦略と、そのための重点投資戦略をどのように考えるかをお聞かせください。

 

 次に将来の歳入拡大とも関連しますが、財政運営の中で、法人市町村民税や固定資産税拡大の方策として、市内企業の活性化や設備投資を伴う新たな企業誘致も重要と考えます。大和市には産業の受け皿としての土地が少ないという状況認識はありますが、地域特性を活かした産業活性化方策の具体論は十分に成立すると考えます。その具体論に関しては、また別の機会の一般質問で取り上げたいと考えています。しかしながら、ここでは中項目3として、今後の財政運営において、税収増加に向けた商工費の拡大や産業活性化策への取り組みを拡充する必要があると考えますが、この点の基本認識としての市の考えをお聞かせください。

次に中項目4として歳入に大きく影響を与える事項について質問しますが、最初に中項目4の小項目1として、米軍の空母艦載機部隊移駐に伴う大和市への予算影響についてお聞きします。

市長の施政方針にも述べられているように、空母艦載機部隊の段階的移駐が早ければ今年7月以降に開始され、来年5月頃には完了する見通しとなりました。ただし移駐後の厚木基地の運用等については、まだ明らかにされていないということも述べられています。しかしながら、長年航空機騒音に悩まされてきた市民にとっては、現在よりも騒音軽減につながる可能性が高く、大歓迎するところであります。

一方で、今年の1月14日付の神奈川新聞に、綾瀬市が米海軍厚木基地に駐留する空母艦載機部隊の移駐を今年後半からという米軍の発表に絡み、基地立地に伴う国からの交付金の減額を見込み、2018年度以降予算編成に影響する見込みがあることを記者会見で発表しました。綾瀬市が毎年受け取る交付金は25億円前後で、綾瀬市の一般会計予算の1割弱を占めています。そこで、移駐後の部隊縮小や騒音の軽減に伴う交付金の減額を前提に、「なるべく影響が小さいように、どんな対応ができるか検討したい。」と述べています。

ご承知のように「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」において、法3条は、障害防止工事として河川、道路等の改修等の助成、騒音防止工事として学校、病院等の助成が規定されています。法8条として民生安定施設の整備助成、法9条として特定防衛施設周辺整備調整交付金があります。

大和市においては、綾瀬市ほど大きな影響は出ないものと考えられますが、財政の面から空母艦載機部隊移駐に伴う影響を把握し、2018年度以降の予算計画に盛り込む必要があります。因みに大和市のホームページの数字では平成27年度は基地交付金が約3億3千万円、3条の学校防音等工事補助金は約2億9千万円、8条の民生安定施設の助成が約8億3千万円、9条の特定防衛施設周辺整備調整交付金は約6億7千万円となっています。また、その他の補助金交付金も含めて基地関連の国庫補助金交付金の総額は約21億6千万円で、一般会計歳入総額に占める割合は2.7%となっています。そこで中項目4の小項目1として、平成30年度以降の空母艦載機部隊移駐に伴う交付金等の減額見通しと財政運営に与える影響の見通しをお聞かせください。

次に小項目2としてふるさと納税についてお聞きします。ふるさと納税平成28年度から年間上限額が2倍となり、これを機にふるさと納税額が大きく増加し、自治体間の競争も激しくなっています。

総務省は昨年の8月に、各自治体が16年度に失う個人住民税の金額を発表しました。総額では前年度比5.4倍の998億5000万円。都道府県別で流出額が最多の東京は約249億円、続く神奈川は約84億円の大幅な赤字となるとのことです。

さらに世田谷区ではふるさと納税の流出額は看過できないレベルであるとのコメントを出しており、17年度はさらに流出額が増加して16年度比1.8倍の30億円と予測しています。

この弊害も出てきており、最近の例では、千葉県の勝浦市で70%の還元率の返礼商品券がネットオークションに出され、問題となりました。

大和市においても、いたずらに自治体間競争に巻き込まれることなく、冷静に対応すべきと考えますが、そのためにも基礎的データを押さえておく必要があります。

そこで大和市平成28年度の税流出額を調べると約1億1,400万円で、反対に寄附受け入れは346万円で差引約1億1,000万円の税収減となっています。27年度が1,600万円の税収減でしたが、寄附枠の拡大に伴い税収減も急拡大です。

そこでお聞きします。小項目2の1つ目として、世田谷区では平成29年度は、約1.8倍と予測していますが、大和市におけるふるさと納税平成29年度の減少額の予測をお聞かせください。2つ目として、流出減に対応する市の今後の対応についてお聞かせくださ

い。

表1 歳入                    
   項目  歳入区分 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年 平成24年 平成25年度 平成26年 平成27年
大和市の住民1人 地方税 158.25 155.42 149.35 144.16 143.35 140.77 142.71 143.40 142.57
当たり歳入 個人市町村民税 70.44 71.12 69.43 63.51 61.85 62.98 63.33 64.07 64.48
   (単位;千円) 法人市町村民税 16.05 12.76 9.50 10.71 10.64 10.50 11.17 10.37 9.37
  固定資産税 63.72 63.69 63.00 62.34 62.23 58.87 59.09 60.13 60.04
  経常一般財源 177.64 173.95 167.48 165.69 167.17 163.02 165.62 166.30 172.04
  一般財源 205.66 204.53 203.78 200.67 195.54 194.65 193.14 206.11 206.71
  歳入合計 281.55 290.43 296.46 303.58 289.03 279.89 288.63 337.22 338.74
4市平均に対する 地方税 0.92 0.88 0.93 0.92 0.92 0.91 0.92 0.91 0.88
大和市の割合 個人市町村民税 1.05 1.05 1.04 1.04 1.02 1.02 1.02 1.03 1.03
  法人市町村民税 0.78 0.52 0.89 0.84 0.92 0.80 0.88 0.75 0.52
  固定資産税 0.84 0.83 0.84 0.83 0.83 0.82 0.82 0.82 0.82
  経常一般財源 0.93 0.89 0.94 0.93 0.94 0.93 0.93 0.92 0.90
  一般財源 0.91 0.89 0.91 0.90 0.91 0.92 0.90 0.94 0.90
  歳入合計 0.94 0.95 0.92 0.96 0.92 0.88 0.91 1.01 0.98

 

表2 目的別歳出                    
  項目   平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年 平成24年 平成25年度 平成26年 平成27年
大和市 目的別歳出 民生費 78.37 81.44 90.74 110.37 116.72 115.78 117.82 128.72 132.95
  (住民1人 教育費 37.80 28.52 25.92 37.72 23.86 25.10 31.43 56.68 59.73
  当たり) 土木費 48.11 52.27 44.77 41.23 37.06 31.54 32.13 33.39 34.20
  (単位;千円) 総務費 32.30 32.39 35.58 33.69 28.87 29.78 28.01 34.03 30.55
    衛生費 26.02 24.71 29.96 28.79 29.17 29.13 28.44 28.61 28.55
    公債費 27.52 23.22 20.69 20.24 20.57 20.30 20.32 19.61 18.20
    消防費 11.64 12.01 11.40 11.03 10.81 10.40 12.55 13.05 11.97
    商工費 5.33 5.31 20.90 5.13 5.20 5.38 5.35 5.37 6.24
    その他 3.80 3.84 4.10 4.33 4.80 3.40 3.29 3.45 3.24
    総額 270.89 263.72 284.06 292.55 277.07 270.81 279.33 322.90 325.61
住民1人当たり歳出 民生費 0.95 0.95 0.97 1.00 1.02 1.02 1.01 1.03 1.02
の4市平均に対する 教育費 1.08 0.80 0.71 1.12 0.85 0.83 1.06 1.83 1.97
大和市の割合 土木費 0.96 1.14 1.01 1.05 1.03 0.89 0.86 0.89 0.93
    総務費 0.91 0.82 0.74 0.95 0.88 0.86 0.78 0.85 0.63
    衛生費 0.84 0.85 1.04 0.97 0.82 0.74 0.92 0.97 0.89
    公債費 1.02 0.83 0.77 0.76 0.79 0.84 0.83 0.77 0.80
    消防費 0.94 0.96 0.93 0.95 0.94 0.76 0.93 0.89 0.84
    商工費 0.92 0.83 1.58 0.56 0.57 0.61 0.61 0.58 0.68
    その他 0.54 0.55 0.58 0.63 0.67 0.58 0.55 0.58 0.56
    総額 0.95 0.91 0.91 0.97 0.92 0.89 0.92 1.01 0.99
大和市の平成19年度 民生費 1.00 1.04 1.16 1.41 1.49 1.48 1.50 1.64 1.70
からの伸び率 教育費 1.00 0.75 0.69 1.00 0.63 0.66 0.83 1.50 1.58
(住民1人当たり) 土木費 1.00 1.09 0.93 0.86 0.77 0.66 0.67 0.69 0.71
    総務費 1.00 1.00 1.10 1.04 0.89 0.92 0.87 1.05 0.95
    衛生費 1.00 0.95 1.15 1.11 1.12 1.12 1.09 1.10 1.10
    公債費 1.00 0.84 0.75 0.74 0.75 0.74 0.74 0.71 0.66
    消防費 1.00 1.03 0.98 0.95 0.93 0.89 1.08 1.12 1.03
    商工費 1.00 1.00 3.92 0.96 0.98 1.01 1.00 1.01 1.17
    その他 1.00 1.01 1.08 1.14 1.26 0.90 0.87 0.91 0.85
    総額 1.00 0.97 1.05 1.08 1.02 1.00 1.03 1.19 1.20

 

<意見・要望>

 中項目1の世界経済については、市長答弁にもあったように中国、イギリス、アメリカなどの経済停滞リスクや政治リスクが懸念されています。また先進各国で少子高齢化が進行し、潜在成長率が低下しています。これを打破するために、新たな先進技術でリスクに対応する力を備えることの重要性を述べられました。

皆様ご承知のように潜在成長率は、資本、労働、生産性の3要素から算定される中長期的に持続可能な経済成長率を示します。資本は、設備投資などの投資を示しますが、少子高齢化で縮小するマーケットに対して大幅な投資は見込めません。労働も労働力人口と労働時間の掛け算ですが、人口減少社会の中で減少に向かっています。最後の生産性向上は市長答弁にもあるように新たな技術革新により克服する可能性があると考えています。さらに加えるならば大幅な規制緩和や市場開放を前例にとらわれることなく、大胆に、大規模に、革新的に進めることが重要だと考えています。

しかしながら、問題の根源は生産性の向上等に伴う果実の社会的な配分システムと考えます。経済を専門とする私の友人たちに聞いても、少子高齢化時代における新たな経済・社会モデルはいまだに見当たらないということです。近代においてはマルクス経済学と近代経済学としてのケインズ経済学が基礎となっていました。しかし、貧富格差拡大などの問題解決のために新たな経済理論構築を行うべく ポスト・ケインズ派の動きなどがありますが、まだ道しるべとなる理論はありません。

大和市のこれからの財政運営においても、債券価格、原油価格、株式などのマーケット動向を注視しつつ、経済モデルで解決できていない貧富格差是正へ地域自治体として実行可能な対策を行う運営を心掛けて頂くよう要望します。

 中項目2の財政運営については、今までは事業の見直しやコスト削減などを行いながら、市債発行を適正に行い、シリウスの完成にこぎつけた点は大いに評価します。今後に関しては、扶助費の拡大などにより一層厳しい財政運営を強いられるという認識を示されましたが、コスト削減意識を持ち、施策の効果を見極め、行政効率を高めることも留意するとの答弁でした。

しかしながら今回資料でお示ししたように、地方税等の歳入はいまだに減少傾向にあります。一方で民生費の歳出額に大きな影響を与える扶助費の拡大は今後とも継続します。平成19年から27年までの扶助費の伸びは約2、3倍です。これは年平均で9.5%の伸び率です。今後、平成28年から9%の伸びだと想定すると、平成34年、西暦で2022年には扶助費が約380億円となります。平成27年の決算額における扶助費の割合が27.2%で、金額としては208億円でしたが、この増加分を補助金を含めてどこから捻出するのか、今から心配でなりません。

健康都市大和も特色ある重要な施策であり、今後もこの特色を維持すべきと考えます。しかし今後は現在の事業評価にとどまらず、類似都市と比較して1.07倍と高い扶助費も含めて、全ての事業や施策がどの程度の生産誘発効果や税収増効果をもたらすかの視点からも評価し、事業の見直しやコスト削減、場合によっては予算増などを行うことを提言します。財政状況が厳しくなれば、予算編成時における扶助費のシーリングを考えざるを得ませんが、当面は扶助対象者の所得制限の見直しや適正化などを徹底することも考えられます。今後、限られた予算枠の中で、予算を有効に使い、将来の大和市の継続的発展に繋げるためには、この点は非常に重要であることを改めて強調しておきます。

また、今述べた点に関連することですが、商工施策の充実や拡大、それに伴う商工費の拡大も必要と考えます。是非、2018年度予算における拡大を要望します。

空母艦載機部隊移駐に伴う大和市財政への影響は、現時点ではわからないとの答弁でした。この点については現状として理解しました。今後は基地の運用状況や防衛省などの動向を見据えつつ、今後も適切な対応を行っていただくとともに、財政運営や行政施策に影響がある情報についての開示を、議会に対しても市民に対しても素早く行っていただくことを要望します。

 ふるさと納税に関しては、税収減が平成29年度は予算編成時ではありますが、約1億3800万円の予測との回答でした。他の自治体では1.5倍から2倍程度の税収減を予測している例も多く、大和市においても予測値以上の税収減となる可能性もあります。これに対して、国から減収分の75%が補助されるとのことですが、大和市ならではの返礼メニューを提供するなどの抜本的な対応策を早急に検討し、実施することを強く要望します。