20日の午前9時からの一般質問と意見、要望をアップします。長いですが、ご一読くださるようお願いします。
会派に属さない議員の渡辺伸明です。通告に従い一般質問させて頂きますが、大項目1として「空き家、空き室対策を通じた都市施策の展開」をテーマに一括して質問いたします。よろしくお願いいたします。なお、今回対象とする空き家、空き室については住宅を対象に質問します。商店街の空店舗対策も大きな課題となっていますが、これは別の機会に取り上げたいと考えています。
最初に中項目1として、空き家、空き室対策を取り上げます。空き家対策については、平成27年5月26日に空家等対策の推進に関する特別措置法が制定されたことを受けて、平成27年6月議会で、議員となって初めての一般質問で取り上げました。その後、実に多くの議員が空き家について一般質問で取り上げています。その間の市の答弁を、要約し整理すると以下の内容となります。
1. 大和市では特定空家と認定される空き家は存在しない。
2. 自治会の協力のもとに実態調査を行い、平成28年9月1日現在、市内の空き家件数は73件あり、内訳として、樹木が大きく繁茂し、ハクビシン等が見られたものが1件、樹木の手入れや建物の一部に修繕が必要なものが12件、除草等簡易な手入れが必要とされるものが60件である。
3. 空き家に関する相談があった場合、空家対策特別措置法に基づき、空き家の所有者等に対し、書面にて適切に管理するよう依頼している。
4. 長年放置された空き家2件について、市と司法書士会、不動産業者が連携し、所有者へのアドバイス等に取り組んだ結果、その空き家が解体、撤去された。
5. 空き家の状況は、件数も少なく、深刻な状態に至っていないと認識しており、当面は空家対策特別措置法に定められた協議会の設置も必要ないものと考えている。
6. 空き家の有効活用については、現状の耐震基準を満たさないものや、相続により所有者の特定が困難な場合があるなど、有効活用していくことの難しさもあるが、個々の空き家の実態を踏まえ、他市の事例なども参考にしながら対応していく。
以上であります。しかしながら、一方で直近の6か月間の神奈川新聞、日経新聞において、一戸建ての空き家対策に関する記事が非常に多く見受けられました。図1は、このような記事を、空き家対策の段階的な行政対応をもとに要約、整理し、さらにヒアリング結果を加味してまとめたものです。
この中で代表的な例をご紹介すると、昨年11月の神奈川新聞によると、厚木市では、実態調査により755戸の空き家を確認し、特定空き家はなかったものの管理不全が205戸、経過観察が359戸という実態を明らかにしたうえで、適正管理や空き家化の予防に取り組むための対策計画を策定しました。その中で数値目標も導入し、管理不全を25%削減することとしています。取り組み方針として、「空き家化の予防」「管理不全の解消」「空き家の活用」を掲げ、所有者への相談支援、見回り体制の整備、空き家バンクの検討、各種助成制度の検討、民間事業者との連携などの具体策も盛り込んでいます。その後、3月には県弁護士会、県司法書士会、県宅地建物取引業協会県央支部、全日本不動産協会県本部県央支部の4者と協定を締結しています。
また海老名市では、市宅建業者協力会と空き家対策に関する協定を締結して、4月から運用を始めました。地元不動産業者に空き家の見守り活動を求める一方、売買成立などで空き家解消に至ったケースに報奨金を払うというものです。具体的には市が調査、作成した管理状態が良くない123件の空き家のリストを協力会に提供して、半年に1回市に報告する一方、市は所有者に売買や賃貸契約を結ぶかの意向確認を行い、その結果を同会に報告する仕組みとなっています。
一方、国では今年の2月9日に住宅セーフティネット法の改正案が閣議決定されました。これは、国土交通省所管で民間の空き家、空室を活用して、高齢者、低所得者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の創設です。併せて入居者への家賃補助や、受け入れる住宅の持ち主への住宅改修費を補助することを検討するという記事もありました。空き家対策と子育て世帯、高齢者の住宅サポートをリンクさせる試みです。
さらに、6月14日の日経新聞で、空き家、空き地の所有者を把握しやすくし、不動産取引や都市開発を後押しするために国交省や自治体、法務省などの行政不動産情報統合を進めるという記事が掲載されました。
このように、ここ半年だけをみても、近隣市で特に1戸建ての空き家対策に本格的に取り組み始めている状況がわかります。また、国も住宅セーフィティネット法の改正などの新しい動きを始めました。
次に表1をご覧ください。平成25年住宅・土地統計調査を基にした表です。ここでの空き家の定義は、二次的住宅としての別荘、賃貸住宅、売却用住宅、その他の住宅を合計した数字です。これを見ると大和市の空き家率は11.5%となっています。因みに全国平均では13.5%、神奈川県全域では11.2%です。県下19市平均では11.0%です。現状では大和市はそれほど高い水準ではありませんが、それでも19市平均や神奈川県平均よりも高く、決して空き家問題が楽観できない状況と言えます。実際に大和市よりも空き家率の低い海老名市や綾瀬市においても、一戸建ての空き家対策への取り組みが進みつつあります。
また、表1の「その他の住宅」は、空き家になったにも関わらず、買い手や借り手を募集しているわけではなく、そのまま置かれている状態の空き家で、一戸建て住宅が大半です。これが大和市では、3580戸という数字になっています。この数字を見ると、現在の大和市内の適正管理されていない空き家が73戸というのは、実態が十分に把握されていないのではと考えざるを得ません。
次に、賃貸住宅の空き家状況を確認します。同じく表1をご覧ください。大和市の空き家総数の68.6%が賃貸住宅の空き家です。一戸建て住宅の空き家以上に、賃貸住宅の空き家は都市の荒廃に大きな悪影響をもたらします。
皆様ご承知のように、賃貸住宅の空き家が拡大することによって様々な弊害がもたらされます。まず第1に空き室の多い賃貸住宅が増加すると管理低下あるいは管理放棄となる可能性が高くなり、戸建て空き家と同様、近隣に外部不経済などの悪影響をもたらすことが懸念されます。第2に空き家化した賃貸住宅が増加すると、結果として土地所有者の経済的圧迫が高まります。また地価下落にもつながります。第3にインフラ等の行政の非効率化、都市イメージの低下にもつながります。
一方で、相続税の節税目的のアパート建設も近年増加し続けており、建築着工統計によると2016年のアパート、マンションは前年度比10.5%増という結果が出ました。今後も相続税対策や近年の低金利における金融機関の積極融資姿勢もあり、増加傾向は継続すると考えます。さらに市街化区域内の生産緑地が指定後30年を迎える2022年問題もあります。
このように、端的に言えば、現在でも供給と需要がアンバランスで、空き家率が年々増加傾向であるにもかかわらず、さらに供給が増加傾向を示し、需要側の人口減少も待ったなしの状況です。不動産事業者にヒアリングしても、現実の不動産市場の動きとしては、新築は満室になる一方で、3~4年前の物件でも空き室が増え、賃料を下げざるを得ない状況が起きているとのことです。
そこで中項目1の小項目1として、今後の大和市の空き家政策の基本姿勢についてお聞きします。大和市の従来の一戸建て住宅の空き家対策は、特定空家の抑制や周辺への迷惑抑制に主眼を置いた対策に取り組んできたものと考えます。しかし、まちの健康を維持させるための都市施策として、今後は、未曽有の少子高齢化社会、人口減社会を迎え、迷惑抑制の段階から、既存ストックである空き家活用の促進による外部不経済の解消や、土地利用の非効率化解消による地域活性化、インフラ等の社会的費用削減、少子高齢化や子育て世代等の社会的課題とのリンクなどの視点を重要視する施策を展開する段階へと移行すべきと考えますが、市長の考えをお聞かせください。
小項目2として、改めて空き家の実態調査の必要性をとりあげます。厚木市では、実態調査前では、近隣の苦情、自治連でお願いした情報、消防のデータなどすべてを合わせて、132戸の空き家があったということです。しかしながら改めて1年以上水道未使用の物件3,574戸を抽出し、実態調査を行ったところ、周りの家屋、住民に迷惑をかけている区分Bの空き家が205戸、現時点では周りに迷惑が及んでいないが、定期的な経過観察が必要とされる区分Cの空き家が359戸、現在のところ問題がないとされる区分Dの空き家が191戸で合計755戸の空き家が確認されたということです。しかも空き家分布状況は、市街地を含めて市内に一様に存在しているとのことです。
大和市では、冒頭述べたように過去の答弁において、市内の空き家件数は73件としており、大和市は空き家問題は深刻でないというスタンスです。しかしながら、厚木市の例や、大和市の住宅・土地統計調査の戸建て空き家である「その他の住宅戸数」3580戸というデータを考えると、実態調査を行えばさらに多くの適正管理されていない空き家が存在すると考えられます。
実際に、私の近くの谷戸頭自治会は約270世帯ですが、自治会の協力を頂いて調べたところ、そのうち12戸が空き家となっています。この自治会は実に一戸建て戸数の約4.5%が空き家となっています。
そこで改めて小項目2として、大和市でも空き家に関する実態調査を行うべきと考えますが、この点についても市長の考えをお聞かせください。
小項目3として、今後の空き家発生の見通しについてお聞きします。平成25年住宅・土地統計調査によると、大和市の一戸建ての持ち家で65歳以上の単身世帯が3840戸となっています。また、65歳以上の夫婦のみの一戸建て持ち家は6920戸です。乱暴な計算ですが、65歳以上単身および夫婦のみの戸建ての合計10760戸が30年間で平均して世帯主を失うことになれば、年間360戸となります。このうち仮に約5分の1が空き家化すれば、年間70戸程度が空き家となる計算です。このような前提の上で、改めて今後の空き家発生の見通しについてお聞かせください。
小項目4として、今後の具体的な空き家対策への取り組みについて質問します。
その1として、現在行っている空き家の定義、分類方法をお聞かせください。さらに所有者確認作業をどのように行っているのかお示しください。また、現在把握している空き家のうち、固定資産税が未払いな件数、相続人等の所有者確認ができていない件数をお示しください。
その2として、所有者や相続代表者への連絡、意思確認の方法についてお示しください。確認できた所有者等のうち、売却希望、所有希望、賃貸希望等の内訳をお聞かせください。
その3として、所有者に対する相談体制の実情をお聞かせください。また、弁護士や司法書士、税理士などとの連携状況や今後の協定の締結の必要性をどのように考えているのかについてお聞かせください。
その4として、所有者に対する意思確認や相談に応じる際に、売却希望、所有希望、賃貸希望、それから後に触れますが自治体等への寄付などの選択肢毎に、具体的な手続き、連絡、相談先及び関連情報などを示した分かり易い資料を作成することが必要と考えますが、この提案に対する市の考えをお示しください。
その5として、行政側の相談窓口が一覧できる資料作成を提案します。私の実体験ですが、ある空地の適正管理の問題解決を依頼するために消防、みどり公園課、生活環境保全課などいくつかの窓口を廻ることになってしまいました。この例は空地の適正管理でしたが、空き家の適正管理を含めた行政側窓口の分かり易い文書を作成し、窓口に設置したりホームページ上で公開する必要があると考えますが、この点について市の考えをお聞かせください。
その6として、有効活用の促進に関して、どのような対策を行っているのかその実態をお聞かせください。併せて他市のように不動産関連団体と協定を締結し取り組む必要があると考えますが、この点についての市の考えをお聞かせください。
その7として、厚木市では老朽空き家の解体助成金、旧耐震基準空き家の耐震補強助成金制度などを設けています。また福生市では、所有者が建物を撤去し、ファミリー向け住宅に立て替える場合に限り、撤去費を補助するという仕組みもあります。空き家の有効活用のためには、是非とも必要な制度だと考えますが、市の今後の取り組み方針についてお聞かせください。
その8として、土地建物を自治体に寄付する条件で、空き家の公費撤去を進めている例もあります。長崎市では老朽危険空き家対策事業として、土地建物を市に寄付し、跡地の利用について地域で話し合い、管理していくことを前提に公費撤去しています。長崎市の場合、斜面が多く、限られた平地と斜面に住宅が密集しているため、空き家跡地の公的利用は、居住環境改善という点で重要な意味を持つことで導入されています。公費撤去の仕組みを持っている自治体としては、ほかに山形市、富山県滑川市などがあります。また、空き家の建っていた土地を一定期間公共利用することを条件に撤去費を補助し、公共利用の間の固定資産税を免除することで、空き家撤去を促している自治体もあります。
大和市においても、1.延焼危険度の高い地域であること 2.所有者から土地建物を大和市に寄贈すること 3.解体後の土地の日常の維持管理を、地元の皆様でおこなっていただけること、あるいは地元自治体が自治会館など公的利用する目途があることなどを条件として公費撤去するメニューも加えるべきと考えます。このことにより、延焼危険度の高い地域の市街地改造や、地域課題の解決や地域活性化につながると考えます。以上の考えのもとに大和市でも新たな公費撤去メニューを検討すべきと思いますが、市の考えをお聞かせください。
その9として、空き家等の適正管理に関する条例制定については、27年6月の私の一般質問でも、現時点では必要ないとの答弁でしたが、現在でもその考えは変わらないのかお答え下さい。併せて空家対策特別措置法に定められた協議会の設置は必要ないとの答弁ですが、この点についても市の考えは現時点でも変わらないのかをお聞かせください。
その10として、写真1にお示しする家屋は、特定空き家の要件の中で、「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」がありますが、その状態の1つとして、「立木等が建築物の全面を覆う程度まで繁茂している」がありますが、この事例はそれに該当しないのかどうかお聞かせください。
その11として、相続目的のアパート建設が、今後も継続し、その結果として空き室が増大し、古い物件が荒廃する可能性が高いと考えられますが、大和市として都市施策の中でこのような賃貸住宅の供給過多による市街地の荒廃状況をどのように認識し、今後どのように対応していくのかお聞かせください。
次に中項目2として、立地適正化計画の運用についてお聞きします。コンパクトシティの実現を目指して、大和市でも立地適正化計画が策定されました。その中で、基本方針の1つに「高齢化進行地域の若返りを念頭に置いた人口誘導による地域間人口バランスの確保」が掲げられています。これは素晴らしい着眼点であると評価させていただきます。その誘導施策の方向性として、「早期に高齢化や人口減少が進むと予測される南部地域への居住誘導を重点的に進め」と記載されています。その具体策として、子育て世代を中心とした生産年齢人口の定住と呼び込みを図り、その受け皿として高座南部土地区画整理事業地や下福田地区の区画整理事業地を示しています。
そこで小項目1として、南部地域では、高齢化率が高いこともあって、今後も空き家、空き室の増加が懸念されます。このような南部地域への人口誘導を図るための方策として、市として特に空き家対策を積極的に進め、売却や賃貸を促進させ、さらに住宅セーフティネット法の改正に関連して、子育て世代や住宅確保要配慮者の入居促進を図る取り組みを進めるべきと考えますが、市の考えをお聞かせください。
次に、立地適正化計画において、居住誘導区域として、市街化区域全体を居住誘導区域と定めています。平成27年12月議会において、市街化区域内の生産緑地の基本的な考え方や、具体的な保全、担保方策をお聞きしました。当時の答弁としては、生産緑地は、良好な都市環境の形成に一定の役割を果たしてきているが、人口減少が進む中、宅地予定地としての位置づけも低下してきているとの答弁でした。さらに都市農地を保全、活用すべきとの国の調査報告もあるので、生産緑地を含む都市農地の保全、活用方策などについて調査研究していく必要があるとの認識も示しています。
そこで、小項目2として、立地適正化計画の中の居住誘導区域において生産緑地の位置づけや、保全、活用の記述がありませんが、市としてどのようにお考えでしょうか。空き家の増大や空き室拡大による需給バランスが大きく崩れつつある状況を踏まえてお答えください。
小項目3として、立地適正化計画では、居住誘導区域外での届け出制度も示しています。その中では、3戸以上の住宅、1,000㎡以上の開発行為が対象となっています。野放図な居住地の拡大、住宅供給過剰を抑制するための制度と考えますが、届け出が形式的なもので拘束力がなければ有名無実となりかねません。そこでお聞きします。このような開発行為や建築等行為の届出があった場合の市の判断基準と指導内容をお聞かせ下さい。
以上で、大項目1に関する一括質問を終わります。
<意見、要望>
ご丁寧な答弁ありがとうございました。
しかしながら、今回の市の空き家に対する基本姿勢は、従前と変わらず大和市の空き家問題は深刻な状況でなく、スタンスとしても適正管理を促していくというものと理解しました。但し、個別対応をきちんとしていくことと、今後必要となる対応策は研究するということでしょうか。
これらの答弁については、特に質問項目ごとに詳細かつ具体的に私の意見、要望を述べたいところですが、時間制限がありますので、要点のみ述べさせていただきます。
第一として、空き家問題については、過去9回の定例議会で私を含めて9人の議員が一般質問しています。このように議員レベルでは、空き家問題が大きな地域課題と認識されていることを示すものと考えます。大和市においては、空き家問題は深刻でないと受け止めているようですが、大きな行政課題と認識して、早急に取り組みを強化することを強く要望します。
第二として、近い将来に間違いなく状況が悪化する行政課題に対しては、早めに手を打つ必要があるということを、今後の大和市の行政の基本姿勢としていただくことを要望します。早めに対応することによって政策効果が高くなり、コストパフォーマンスもあがります。
例えば、空き家対策に限定して考えた場合、現状の空き家状態の把握を、県の協力を仰ぎ、1年間の閉栓データに基づき、早い段階で空き家実態調査を行えば、現状よりも多くの空き家実態が把握されます。これをデータベースとして、より多くの土地所有者等に早めに有効活用や不動産流動化などを働き掛けることが出来ます。
また、データに関して、2年ごとに新たな閉栓データを確認し、新たな空き家を把握することも容易となります。これが数年後に行うことになると、現状より膨大な空き家を対象としてスタートすることになります。また有効活用などの機会損失も増大します。
第三として、所有者等に適正管理を依頼する際に、売却、賃貸等の希望は把握していないとのことですが、これは是非、適正管理依頼の際に意向把握することを強く要望します。
第四として、地域住民への普及啓発を徹底することを要望します。例えば空き家対策とは異なりますが、横須賀市では平成23年度から、人生の最終段階においても「住み慣れた我が家で療養したい」と願う市民が、在宅での療養・さらには看取りという選択ができるように地域医療の体制づくりを進め、さまざまな取り組みを展開してきました。その結果、平成28年には、在宅医療死亡率が、人口20万人以上の都市で全国トップの22.9%となりました。因みに大和市は12.3%です。
どうして、そのように短期間で効果があったのでしょうか。様々な要因が考えられますが、市民にも分かり易い漫画入りの冊子を作成し、積極的に市民に普及啓発活動を行ったことが大きいと言われています。タイトルは、「最期までおうちで暮らそう」と「ときどき入院・入所ほぼ在宅」の2冊です。私も内容を見ましたが、非常に分かり易く面白い冊子です。また、市内病院の医師にも配布し、患者に手渡ししているとのことです。
大和市においても、空き家対策の一環として、相続のスムーズな手続きや、リフォーム、耐震補強、売却、賃貸など分かり易く解説した冊子を作成し、先ほど述べたように、空き家の土地所有者、相続予定人と面談する際に、意向把握とともに配布することを要望します。さらに、75歳以上の戸建て単身居住者にも配布することも考えられます。
また、空き家の相談窓口の現在の広報書類も、住民に分かり易くなっているとは言い難いと考えます。この点についても改善することを強く要望します。
第五として、明確な答弁はありませんでしたが、今後の空き家対策は、様々な地域課題とリンクして考えるべき時代に来ていると考えます。例え人口微増傾向が維持されている大和市でも、今後確実に適正管理が行われない空き家は増加します。
一方、国の施策のかじ取りにおいても、空き家の有効活用や、住宅セーフィティネット法の改正などの新しい動きを始めました。
大和市においても、子育て世代や低所得者、高齢者など住宅確保要配慮者も多く存在します。このような地域課題と空き家対策をリンクさせる取り組みを是非とも積極的に取り組むよう、改めて強く要望します。
この他にも、個別具体的に意見、要望したいことは数多くありますが、今後、次回以降の一般質問や関係部署との意見交換などを通じて、より良い施策の実現に協力していきたいと思います。
以上をもちまして渡辺伸明の一般質問を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。
図1 近隣市等で実施されている空き家対策の内容
項目 |
内容 |
具体的方法 |
実施自治体 |
1.実態把握 |
1.実態調査 |
・厚木市では、県に水道閉栓データ紹介⇒9,000戸程度データ ⇒戸建3574戸に絞り込み⇒実態調査755戸の空き家(適正管理なし) |
|
2.所有者等への連絡、意志確認 |
1.所有者確認作業 2.意思確認作業 |
・資産税課と連携して、所有者情報問い合わせ(世代をさかのぼる例も) ・所有者、相続代表者等と接触(電話、文書)⇒意思確認(売却、所有、賃貸等) *売却、所有、賃貸等の所有者の意思や、相続などに関してそれぞれ毎に分かり易い説明資料を整備し、3の相談体制を拡充することが重要。 |
・ほとんど全ての自治体で行っている *印に関しては、小項目4のその4 |
3.所有者の相談 |
1.所有者への相談支援 |
・厚木市 |
|
4.広報、周知 |
1.空き家バンク 2.行政側の広報 |
・空き家の所有者と必要とする人とのマッチング ・総合窓口と生活衛生、火災予防、建物の維持管理、防犯等のそれぞれの窓口、連絡先を1枚にまとめてHPに公開、配布 |
・厚木市 |
5.適正管理 |
1.見回り体制 2.適正管理の依頼、実行 |
・関係部署がそれぞれの所管に基づいて見回りデータ更新(データ共有) ・管理代行サービス事業者紹介 ・住宅、生活環境、消防、住宅指導、道路管理など様々な担当課から関連する部分の適正管理の文書、連絡⇒所有者に適正管理の圧力 |
・厚木市その他 |
6.有効活用 |
1.不動産事業者との連携 2.鉄道事業者との連携 3.助成制度 |
・地元の宅地建物取引業協会県央支部や全日本不動産協会と協定を締結、 ・地元不動産業者に空き家の見守り活動を求める一方、売買成立などで空き家解消に至ったケースに報奨金を払う ・京急グループが沿線の空き物件を借り上げ、改修したうえで貸し出す「サブリース」事業を展開。対象は戸建て、店舗、マンションの空室 |
・海老名市 ・厚木市 |
7.有効活用の一環(国) |
1.住宅セーフティネット |
・「住宅セーフティネット法」改正により、民間の空き家、空き室を活用して、高齢者、低所得者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の創設 |
・平成29年2月3日に閣議決定 |
出典;平成28年10月から直近までの神奈川新聞、日経新聞等の記事、及びヒアリング結果等を基に渡辺作成
表1 空き家数、空き家率等一覧表 (出典;H25住宅・土地統計調査)
参考; 神奈川県空き家率 0.112 全国空き家率 0.135
市 |
A.住宅総数 |
B.空き家総数 |
空き家内訳(戸) |
|
|
|
空き家率 |
空室賃貸住宅 |
|
(戸) |
(戸) |
C.二次的住宅 |
D.賃貸用住宅 |
E.売却用住宅 |
F.その他住宅 |
(B/A) |
比率(D/B) |
1,764,870 |
178,050 |
2,660 |
112,330 |
10,460 |
52,590 |
0.101 |
0.631 |
|
753,660 |
78,460 |
580 |
59,840 |
4,420 |
13,610 |
0.104 |
0.763 |
|
337,640 |
35,920 |
980 |
23,620 |
1,170 |
10,150 |
0.106 |
0.658 |
|
196,300 |
28,830 |
4,310 |
12,060 |
1,400 |
11,060 |
0.147 |
0.418 |
|
114,980 |
12,170 |
310 |
8,350 |
440 |
3,070 |
0.106 |
0.686 |
|
81,950 |
9,630 |
840 |
3,370 |
750 |
4,680 |
0.118 |
0.350 |
|
198,200 |
22,890 |
920 |
15,940 |
1,120 |
4,910 |
0.115 |
0.696 |
|
91,630 |
12,770 |
470 |
8,910 |
230 |
3,170 |
0.139 |
0.698 |
|
105,970 |
12,820 |
450 |
5,860 |
330 |
6,170 |
0.121 |
0.457 |
|
逗子市 |
28,490 |
4,840 |
2,160 |
930 |
150 |
1,600 |
0.170 |
0.192 |
22,190 |
3,870 |
610 |
1,340 |
180 |
1,750 |
0.174 |
0.346 |
|
77,980 |
10,430 |
330 |
8,320 |
160 |
1,610 |
0.134 |
0.798 |
|
106,350 |
14,460 |
110 |
10,790 |
1,310 |
2,260 |
0.136 |
0.746 |
|
113,470 |
13,040 |
340 |
8,940 |
180 |
3,580 |
0.115 |
0.686 |
|
45,780 |
6,560 |
70 |
5,080 |
100 |
1,300 |
0.143 |
0.774 |
|
海老名市 |
57,820 |
5,480 |
460 |
3,360 |
410 |
1,250 |
0.095 |
0.613 |
60,420 |
6,590 |
130 |
4,190 |
280 |
2,000 |
0.109 |
0.636 |
|
17,330 |
1,850 |
50 |
960 |
90 |
750 |
0.107 |
0.519 |
|
34,520 |
2,770 |
30 |
1,740 |
320 |
680 |
0.080 |
0.628 |
|
19市合計 |
4,209,550 |
461,430 |
15,810 |
295,930 |
23,500 |
126,190 |
0.110 |
0.641 |