6月一般質問の答弁

一般質問の質問部分だけを掲載しましたが、市からの速記録が届いたので、同様に答弁と意見、要望部分を全文掲載します。

 

○市長

 1番目、大和市の産業振興について御質問がありました。1点目、今後の産業政策についてお答えいたします。

 昨今、技術力を持っていた日本企業が海外企業に買収されたり、企業の信頼性を揺るがす不正が行われたりというニュースがたびたび流れているところでありますが、これらの背景には、急速に進むグローバル化や技術革新によります企業界の激しい競争など、企業にとりまして厳しい環境の変化があると推測しております。本市で操業する企業も例外なくその波にさらされているものと思いますが、住工混在によります制限もある環境下で、本市の産業振興に貢献いただいており、これまでこのような既存企業の支援を中心に産業政策を展開してまいりました。しかしながら、厳しい企業環境を背景に、経営判断として転出や撤退に至るケースもあり、IBM大和事業所や鹿島建設もその一例であると考えております。この2つの跡地には一部に新たな企業が入っているものの、現段階では有効に活用されているとは言いがたく、見通しも不透明でございます。このような状況に鑑みますと、今後は既存企業の支援に加えまして、本市で新たに事業を考えていただける企業の誘致や創業支援などの施策にも力を注ぎ、バランスよく産業政策を展開する必要性を感じております。

 特に企業の誘致は新たな雇用や地域経済への波及効果はもちろんでございますが、税収に与える影響にも期待するところでございます。一方で、市域が狭く、活用できる土地が限られている本市におきましては、産業拠点となります工業団地開発などの大規模な誘致を進めることは難しいという現状もございます。本市におきます企業誘致の方向性といたしましては、都心部へのアクセスがよいという特性を生かしまして、例えば小規模な先端技術を有する企業や大学発のベンチャー企業など本市らしい誘致の取り組みができれば、産業経済効果だけではない、新たな可能性が広がるものと考えております。さらに、本市を、起業を志す人たちが集まり、新しい事業が生まれる雰囲気を持った、起業家にとって夢のあるまちにできれば創業環境も大きく変わるものと考えております。今年度は、新しく始まるロボット導入支援事業や平成30年度に開設予定しております起業家支援スペースなどの準備を進めてまいりますが、今後につきましては企業誘致や創業支援も含めて、産業政策全般に力を注ぎ、市内産業全体の活性化を図ってまいりたいと考えております。

 2点目、具体的な産業振興政策について御質問がありました。8つ目、行政の体制強化について2つの質問をいただいておりますが、関連がございますので一括してお答えいたします。

 産業活性課の人員体制の強化と企業誘致や不動産情報提供の専門部署の創設につきましては、まずは現在の体制で業務の効率化を図り、新たな業務に対応することを基本といたしますが、事業を進める上で具体的な課題が出てきた場合には、人員体制について検討を進めてまいります。

 

○市民経済部長

 1つ目、創業支援について3つの御質問にお答えいたします。

 創業支援につきましては、現在、生涯学習センター北館に起業家支援スペースを開設すべく、準備を進めております。将来的には雇用吸収力が見込める企業の必要性も認識しておりますが、まずは、特に業種等は定めずに、できる限り多くの人たちに利用していただける施設づくりを目指してまいります。創業支援として貸し工場のような施設の活用につきましても、その必要性は認識しておりますが、まずは少ない資本や個人で行うスモールビジネスを対象に支援を行ってまいりたいと考えております。創業支援マネジャーの重要性は十分理解しているところでございまして、その選任に当たりましては、中小企業診断士や金融機関関係者など、あらゆる可能性を探るとともに、必要に応じて研修などを行い、資質の向上に努めてまいりたいと考えております。

 2つ目、スタートアップ支援における、市からのトライアル発注についてお答えいたします。

 ある程度の軌道に乗るまでの期間、継続的に支援を行うことは創業支援においても重要な取り組みであることは理解しておりますので、市からのトライアル発注の可能性も含めて効果的な支援策について検討を重ねてまいりたいと思います。

 3つ目、市内企業の技術支援について3つの御質問にお答えいたします。

 さがみはら産業創造センターにはロボット導入支援センターが設置されていることから、昨年11月には大和ロボット共同研究協議会の視察研修が行われるなど、市内企業とのつながりはできつつあると感じております。また、今年度より、相模原市と連携したロボット導入支援事業に取り組むことから、よりよい関係性を築いてまいりたいと考えております。技術支援が行える施設につきましては、将来的にはその必要性について検討しなければならないと思いますが、現段階では海老名市にあります神奈川県産業技術センターを引き続き活用してまいりたいと考えております。市内における企業OBの活用につきましては、市内中小企業に対する有効な支援策になると思うところですが、情報収集やマッチング方法等、さまざまな課題の整理も必要なことから、まずは実施の可能性も含め、調査研究を進めてまいります。

 4つ目、営業、販路開拓支援について2つの御質問にお答えいたします。

 メーカーマッチングシステムとは、すぐれた技術、製品を有する中小企業の情報をウエブサイトに掲載し、国内大手メーカーや海外企業につなげることを目的に行われるものと理解しております。民間企業を初め、公益的団体等がこのような事業を実施していることは承知しておりますが、多くのシステムでは中小企業が直接エントリーすることができることから、市がかかわる必要性、かかわり方につきましては、今後先進事例等について調査研究してまいります。営業、販路開拓支援につきましては、現在、海老名市、座間市綾瀬市と本市を合わせた4市と各種商工団体により、県央ものづくり交流会実行委員会を組織し、金融機関との連携により、共同の出展会を開催していることから、引き続き同委員会を活用しながら販路開拓について検討を進めてまいります。

 5つ目、商店街振興に向けて、商店街活性化のためのプランづくりについてお答えいたします。

 本市では、大和市商業戦略計画に基づき、地域に愛され、地域に根差す商店街づくりを商業振興の目標として掲げ、商店街活性化事業の展開と商店街の発意、創意工夫、自助努力を基本とした取り組みに対して支援を行っております。商店街活性化のための計画につきましては、その有効性や必要性について各商店街と市との間で認識の違いも見られることから、引き続き丁寧な説明を繰り返していくとともに、必要に応じて制度自体の見直しも含め、検討を進めてまいりたいと考えております。

 6つ目、市内新規立地企業への優遇制度、補助金等について2つの御質問にお答えいたします。

 新たな立地企業に対する税の優遇制度や補助金等は、企業誘致に際して有効な施策の一つであることは認識しておりますが、本市の産業振興への継続的な貢献ということを考えますと、誘致後も将来にわたって安定的な企業活動が行われるかという視点も必要と捉えております。優遇策につきましては、他市の状況なども参考にしながら、ロボット産業や情報、医療分野などこれからの時代に求められる産業も視野に入れた上で、本市のこれからの産業政策を見据えて検討してまいりたいと考えております。

 7つ目、不動産事業者等と連携した、空き店舗や事業用用地などの情報提供についてお答えいたします。

 市内に存在する事業者用の土地、建物に関する情報は、企業誘致におきましても有益でございますので、神奈川県における不動産関係団体との取り組みなどを参考に、調査研究を進めてまいりたいと考えております。

(意見、要望)

 今後の大和市の産業政策については、健康都市やまとと同様に、大和市として産業振興にも力を入れているというアピールを、今後、ぜひとも対内的にも、対外的にも明確なメッセージを発信し、イメージを植えつけることが重要と考えます。そのための取り組みを要望します。それとともに、マーケット調査や今後の成長産業分野、大和市の地域特性などを考慮した誘致企業のターゲットや市内企業との相乗効果など、総合的な産業振興戦略を検討することを要望します。

 具体的な産業振興政策については、創業支援の質問でも述べましたが、商工会議所とも連携して、大和市内の企業が新技術による製品開発や新たな発想による事業展開に取り組む可能性があるかどうかも情報収集し、必要があれば企業内ベンチャーとして働きかけるなどの取り組みを行うことを要望します。また、創業支援スペースからスモールビジネスなどの起業家が卵からふ化する場合の受け皿としての空き店舗情報の提供なども要望します。せっかく育った起業家が大和市外に育っていったのでは意味がありません。

 スタートアップ支援については、創業直後の企業として重要ですので、ぜひとも前向きな検討を要望します。

 小項目5の商店街振興については制度自体の見直しも必要との認識が示されましたが、計画策定のプロセスにより、商店街の問題意識が共有されることが重要であり、その点も含めた商店街に対する丁寧な説明を要望します。

 補助金等の制度的な立地企業に対する誘導策につきましては今後検討するということでございますが、これにつきましては早急に検討し、実現することを強く要望いたします。

 まだまだ申し述べたいことは多々ありますが、最後に、現在の産業振興の主担当である産業活性課の組織体制の強化を強く要望して、渡辺伸明の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。